長年使用してきたメタルボンドクラウンが、ある日突然取れてしまったり、表面のセラミック部分が割れてしまったりすることがあります。そのような予期せぬトラブルに見舞われた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。慌てずに適切な対応をすることが大切です。まず、メタルボンドクラウンが「取れてしまった」場合です。取れたクラウンは、決して自分で元に戻そうとしたり、市販の接着剤で付けようとしたりしないでください。無理に戻そうとすると、歯や歯茎を傷つけたり、クラウンが変形してしまったりする可能性があります。また、市販の接着剤は歯科用ではないため、唾液で溶け出して体に悪影響を及ぼしたり、歯にダメージを与えたりする危険性があります。取れたクラウンは、ティッシュなどに包んで保管し、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。歯科医師が診察し、取れた原因（セメントの劣化、土台の歯の虫歯、歯根破折など）を特定し、適切な処置を行います。もし、土台の歯やクラウン自体に大きな問題がなければ、再装着できることもあります。しかし、虫歯が進行していたり、クラウンが変形していたりする場合は、再治療が必要になることもあります。次に、メタルボンドクラウンの表面の「セラミック部分が割れたり欠けたりした」場合です。小さな欠けであれば、食事や会話に支障がないこともありますが、鋭利な部分で舌や唇を傷つけたり、見た目が気になったりすることもあります。また、欠けた部分から内側の金属が露出してしまうと、金属アレルギーのリスクや、さらなる破損の可能性も考えられます。この場合も、自己判断せずに歯科医院を受診しましょう。歯科医師が状態を確認し、欠けの大きさや場所によっては、研磨して滑らかにするだけで済むこともありますし、コンポジットレジン（歯科用プラスチック）で修復できることもあります。しかし、欠けが大きい場合や、審美的に重要な部分である場合は、メタルボンドクラウンを新しく作り直す必要があるかもしれません。いずれのトラブルの場合も、放置しておくことは禁物です。