口臭は、自分では気づきにくいものの、対人関係において非常にデリケートな問題となり得ます。その原因の多くは口腔内にあり、特に舌苔(ぜったい:舌の表面に付着した細菌や汚れ)や歯周病、進行した虫歯などが挙げられます。マウスウォッシュは、これらの口臭の原因にアプローチし、気になる臭いを効果的に軽減するための補助的な手段として、歯科医師も推奨しています。歯科医師が口臭予防を目的としてマウスウォッシュを選ぶ際に注目するポイントや有効成分について解説します。まず、口臭の主な原因物質である「揮発性硫黄化合物(VSC)」を産生する「口腔内細菌のコントロール」が最も重要です。そのため、強力な「殺菌成分」や「抗菌成分」が配合されたマウスウォッシュが推奨されます。代表的な成分としては、「塩化セチルピリジニウム(CPC)」が挙げられます。CPCは、広範囲の細菌に対して殺菌効果を示し、特に口臭原因菌の増殖を効果的に抑制します。また、「塩化ベンゼトニウム」や「トリクロサン」、「イソプロピルメチルフェノール(IPMP)」なども、口臭原因菌に作用する成分として知られています。これらの成分により、VSCの発生源となる細菌の数を減らし、口臭の根本的な原因にアプローチします。次に、「発生してしまった臭いへの直接的なアプローチ」も効果的です。一部のマウスウォッシュには、VSCを吸着したり、化学的に中和したりする成分が配合されています。例えば、「亜鉛化合物(塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛など)」は、VSCと結合して無臭化する効果があるとされ、口臭抑制に有効です。また、「植物由来の消臭成分」、例えば緑茶エキス(カテキン)やハーブエキス(ペパーミント、ユーカリ、タイムなど)なども、爽やかな香りで口臭をマスキングしたり、抗菌作用を示したりするものが配合されていることがあります。さらに、「唾液分泌の促進と口腔内の保湿」も、間接的に口臭予防に貢献します。唾液には自浄作用や抗菌作用があり、口腔内を清潔に保ち、細菌の増殖を抑える働きがあります。口腔内が乾燥すると、細菌が繁殖しやすくなり、口臭が悪化することがあります。そのため、保湿成分(ヒアルロン酸、グリセリン、ベタインなど)が配合されたマウスウォッシュや、唾液の分泌を促すような香味(例:レモン風味など、ただし酸性度には注意)の製品も、口臭対策の一助となるでしょう。
口臭予防に歯科医が選ぶマウスウォッシュ