大人の口腔ケアにおいてプラークコントロールが重要であることは広く認識されていますが、実は子供の口腔ケアにおいても、プラークコントロールは非常に大切な意味を持っています。子供の歯は、大人の歯に比べてエナメル質が薄く、酸に対する抵抗力も弱いため、虫歯になりやすいという特徴があります。この虫歯の主な原因も、やはりプラークです。子供の口の中に存在する虫歯原因菌（主にミュータンス菌など）は、プラークの中で糖分を分解して酸を作り出し、その酸によって歯が溶かされてしまいます。特に、乳歯は永久歯に比べて小さく、神経までの距離も近いため、虫歯が進行しやすい傾向があります。乳歯の虫歯を放置すると、永久歯の歯並びや歯質に悪影響を及ぼしたり、顎の正常な発育を妨げたりする可能性もあるため、早期からのプラークコントロールが重要になります。また、子供の頃から正しいプラークコントロールの習慣を身につけることは、将来にわたって健康な口腔環境を維持するための基礎となります。自分で歯磨きができるようになる前から、保護者がガーゼや綿棒で歯の表面の汚れを拭き取ってあげることから始め、徐々に歯ブラシを使った仕上げ磨きへと移行していきます。子供が自分で歯磨きをするようになっても、小学校中学年くらいまでは、保護者による仕上げ磨きが推奨されます。これは、子供だけではまだ十分にプラークを除去できないことが多いためです。仕上げ磨きの際には、歯ブラシの毛先が歯と歯茎の境目や、奥歯の噛み合わせの溝などにしっかりと届いているかを確認し、優しく丁寧に磨いてあげることが大切です。また、デンタルフロスの使用も、乳歯の隣接面（歯と歯の間）の虫歯予防には非常に効果的です。子供の頃からフロスに慣れておくことで、永久歯が生え揃ってからも自然と使えるようになります。さらに、定期的な歯科検診を受け、歯科医師や歯科衛生士からフッ素塗布やシーラントといった予防処置を受けたり、個々の子供に合ったブラッシング指導を受けたりすることも、効果的なプラークコントロールには不可欠です。子供のプラークコントロールは、単に虫歯を予防するだけでなく、健康な永久歯列を育成し、生涯にわたる口腔の健康の礎を築くための重要な取り組みなのです。
子供のプラークコントロールの重要性