デンタルリンスには、アルコールを含むタイプと含まないノンアルコールタイプがあります。かつてはアルコールを含む製品が主流でしたが、近年ではノンアルコールタイプのデンタルリンスも増えており、歯科医師が患者さんの状態や好みに合わせておすすめするケースも多くなっています。では、歯科医師がノンアルコールリンスを推奨するのはどのような場合で、そのメリットは何なのでしょうか。ノンアルコールリンスの最大のメリットは、「刺激が少ないこと」です。アルコール配合のリンスは、使用時にピリピリとした刺激を感じることがあり、これが苦手な方や、口内炎ができている時、あるいは口腔粘膜が敏感な方にとっては使いにくいことがあります。ノンアルコールタイプであれば、このような刺激がほとんどないため、マイルドな使用感で快適に口腔ケアを続けることができます。特に、子供や高齢者、口腔乾燥症(ドライマウス)の方には、刺激の少ないノンアルコールリンスが適しています。口腔乾燥症の方は、唾液の分泌量が少なく、口腔粘膜が乾燥してデリケートになっているため、アルコールの刺激が症状を悪化させる可能性があります。ノンアルコールリンスであれば、そのような心配が少なく、保湿成分が配合されている製品を選べば、口腔内の潤いを保つ助けにもなります。また、アルコールには揮発性があるため、使用後に一時的に口腔内が乾燥しやすくなるという側面もあります。ノンアルコールタイプは、そのような乾燥感を招きにくいという利点もあります。さらに、アルコールアレルギーの方や、何らかの理由でアルコール摂取を避けたい方(例えば、運転前や特定の宗教上の理由など)にとっても、ノンアルコールリンスは安心して使用できる選択肢となります。以前は、ノンアルコールタイプは殺菌効果が弱いというイメージがありましたが、近年ではアルコールを含まなくても、塩化セチルピリジニウム(CPC)などの有効な殺菌成分を配合し、十分な効果を発揮する製品も多く開発されています。したがって、刺激が苦手だからといってデンタルリンスの使用を諦める必要はなく、ノンアルコールタイプの中から自分の目的に合った製品を選ぶことができます。歯科医師は、患者さんの口腔内の状態、既往歴、使用感の好みなどを総合的に判断し、必要であればノンアルコールリンスを含めた適切な製品を提案しています。
歯科医がおすすめするノンアルコールリンス