日常生活やスポーツ、あるいは不慮の事故などで顔面や顎を強く打撲してしまった場合、激しい痛みや腫れが生じることがあります。このような外傷による顎の痛みの場合、どの診療科を受診すれば良いか迷うかもしれません。主に考えられるのは、整形外科と口腔外科です。どちらを受診すべきかは、症状の程度や他に怪我があるかなどによって判断が分かれることがあります。まず、顎の打撲だけでなく、頭部や首、手足など他の部位にも怪我をしている場合や、意識障害があるような場合は、救急科や総合病院の整形外科を受診するのが一般的です。全身状態の評価と合わせて、顎の骨折の有無などを確認してもらう必要があります。一方、顎の打撲が主で、歯が折れたり抜けたり、口の中が出血している、噛み合わせがおかしくなった、口が開きにくいといった症状が顕著な場合は、口腔外科が専門となります。口腔外科では、顎骨骨折の診断と治療(手術を含む)、歯の損傷(破折、脱臼)への対応、口腔内の軟組織の裂傷の縫合などを行います。特に、顎の骨は顔の形を維持し、食事や会話といった重要な機能に関わるため、骨折が疑われる場合は精密な検査と適切な治療が不可欠です。レントゲン撮影だけでなく、CT検査などが必要になることもあります。軽い打撲で、見た目に大きな腫れや変形がなく、歯のぐらつきや噛み合わせの変化も特に感じられない場合は、しばらく様子を見るという選択肢もあります。しかし、痛みが数日経っても改善しない、徐々に腫れがひどくなる、口が開きにくくなってきたといった場合は、やはり医療機関を受診すべきです。判断に迷う場合は、まずかかりつけの歯科医に相談してみるのも良いでしょう。歯科医が診察し、必要であれば口腔外科や整形外科を紹介してくれます。顎の打撲は、見た目以上に深刻なダメージを受けている可能性もあるため、自己判断せずに専門家の診察を受けることが大切です。特に成長期のお子さんの場合は、顎の成長に影響を与える可能性もあるため、より慎重な対応が求められます。
顎をぶつけた時の痛みは整形外科か口腔外科