一度治っても、またすぐに奥歯の周りに口内炎ができてしまう。このように口内炎を繰り返す場合、単なる体調不良や偶然ではなく、その背景に何らかの根本的な原因が潜んでいる可能性があります。繰り返しできる奥歯の口内炎の主な原因について考えてみましょう。まず、最も考えられるのは「慢性的な物理的刺激」です。例えば、親知らずが斜めに生えていて頬の粘膜に常に接触していたり、尖った歯や、適合の悪い被せ物・詰め物の鋭縁が、奥歯の近くの粘膜を継続的に傷つけていたりする場合です。このような慢性的な刺激があると、同じ場所に何度も口内炎ができやすくなります。また、無意識のうちに特定の場所を噛んでしまう癖がある場合も、繰り返す口内炎の原因となります。次に、「口腔内の清掃不良と細菌感染」も大きな要因です。奥歯の周辺は歯ブラシが届きにくく、プラーク（細菌の塊）が溜まりやすい場所です。清掃が不十分で、常に細菌が多い状態が続くと、粘膜のわずかな傷からも感染を起こしやすく、口内炎が繰り返し発生したり、治りにくくなったりします。特に、歯周病が進行している場合は、歯周ポケット内に多くの細菌が潜んでおり、これが口内炎の原因となることもあります。さらに、「免疫力の低下を引き起こす生活習慣」が改善されていない場合も、口内炎を繰り返しやすくなります。慢性的な睡眠不足、栄養バランスの偏り（特にビタミンB群、ビタミンC、鉄分、亜鉛の不足）、過度なストレス、喫煙習慣などは、体の抵抗力を弱め、口腔粘膜のバリア機能を低下させます。これにより、些細なきっかけでも口内炎が再発しやすい体質になってしまいます。「特定の食品や物質に対するアレルギーや過敏症」も、繰り返す口内炎の原因として考えられます。ある種の食品添加物、金属（歯科用金属など）、あるいは特定の食べ物そのものが、一部の人にとってはアレルゲンとなり、口内炎を引き起こすことがあります。原因となる物質に気づかずに摂取し続けることで、症状が慢性化するケースです。そして、稀ではありますが、「全身疾患の可能性」も考慮に入れる必要があります。ベーチェット病は、再発性の口内炎を主症状の一つとする原因不明の慢性炎症性疾患です。他にも、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患、鉄欠乏性貧血などが、繰り返す口内炎の原因となることがあります。
繰り返しできる奥歯の口内炎原因は