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顎の痛みとストレスの関係?心療内科も選択肢?
顎の痛み、特に顎関節症の多くのケースで「ストレス」が大きく関与していると言われています。精神的な緊張やストレスは、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりを引き起こし、それが顎関節や咀嚼筋に過度な負担をかけることで痛みを誘発します。このような場合、顎の痛みの治療と並行して、ストレスマネジメントも重要となり、「心療内科」が選択肢の一つとなることがあります。心療内科は、心身症と呼ばれる、精神的な要因が身体症状として現れる病気を専門とする診療科です。顎関節症も、ストレスが症状を悪化させる要因となるため、心療内科での相談が有効な場合があります。例えば、強いストレスや不安を抱えている、うつ病やパニック障害などの精神疾患を併発している、あるいは痛みが慢性化し、精神的な苦痛が生活の質を著しく低下させているようなケースです。心療内科では、まず患者さんの精神的な状態を詳しく問診し、ストレスの原因や程度、精神的な負担が身体にどのような影響を与えているかを評価します。心理検査を行うこともあります。治療は、薬物療法(抗不安薬、抗うつ薬など)によって精神的な安定を図るとともに、カウンセリングや認知行動療法を通じて、ストレスへの対処法や思考パターンを改善することを目的とします。例えば、ストレスによって歯ぎしりや食いしばりが誘発されるメカニズムを理解し、ストレスを感じた際にリラックスできる方法(深呼吸、瞑想、運動など)を身につけるよう指導されます。ただし、心療内科は顎関節症そのものの診断や治療を行う診療科ではありません。顎の痛みがある場合、まず「歯科口腔外科」を受診し、顎関節症の有無や他の口腔内疾患の可能性を診断してもらうことが第一歩です。歯科口腔外科で、顎関節症と診断され、その原因にストレスが大きく関与していると判断された場合に、心療内科との連携が検討されます。歯科口腔外科医がマウスピースなどの物理的な治療を行いながら、心療内科医が精神的なサポートを行うことで、より効果的な治療効果が期待できます。顎の痛みとストレスは密接な関係にあり、どちらか一方だけの治療では根本的な改善が難しい場合があります。