ベロにできものができた時、どの診療科を受診すれば良いのか迷うことがあるかもしれません。できものの種類や状態、伴う症状によって適切な診療科は異なりますが、一般的な目安について解説します。まず、最も身近で相談しやすいのは「歯科」または「口腔外科」でしょう。歯科医師は、口の中全体の専門家であり、口内炎や舌炎、良性の腫瘍、粘液嚢胞など、ベロにできる多くの一般的なできものの診断と治療に精通しています。特に口腔外科は、口腔内の外科的処置を専門とするため、より複雑なできものや、生検(組織検査)が必要な場合などに対応できます。一般的な歯科医院でも、口腔外科を標榜しているところは多いです。次に、「耳鼻咽喉科」もベロのできものを診る診療科の一つです。耳鼻咽喉科は、耳、鼻、喉(のど)だけでなく、口腔や咽頭、喉頭といった頭頸部全体の疾患を扱います。そのため、舌がんなどの悪性腫瘍が疑われる場合や、喉の奥の方にまで症状が及んでいる場合などにも対応できます。また、アレルギー性の疾患や、ウイルス感染による口内炎なども耳鼻咽喉科の専門分野です。もし、ベロのできもの以外に、皮膚にも症状が出ている場合、例えば水疱や発疹、ただれなどが見られる場合は、「皮膚科」の受診も検討されます。天疱瘡や類天疱瘡といった自己免疫性水疱症や、ヘルペス感染症などは、皮膚と粘膜の両方に症状が出ることがあります。また、ベロのできものが全身疾患の一症状として現れている可能性も考えられます。例えば、ベーチェット病のように、口内炎以外に関節痛や眼症状、皮膚症状などを伴う場合は、「内科」や「リウマチ科」などの受診が必要になることもあります。鉄欠乏性貧血が原因で舌炎が起きている場合は、内科での治療が中心となります。どの科を受診すれば良いか迷う場合は、まずはかかりつけの歯科医師に相談してみるのが良いでしょう。歯科医師が診察し、必要に応じて適切な専門医を紹介してくれます。また、症状が急激に悪化したり、呼吸困難や嚥下困難などの緊急性の高い症状が出たりした場合は、救急外来を受診することも考慮してください。大切なのは、自己判断で放置せず、不安な場合は早めに医療機関を受診することです。