ベロにできものができると、まず「口内炎かな?」と思う方が多いのではないでしょうか。確かに口内炎はベロにできる代表的なできものの一つですが、他の病気である可能性も考慮し、見分けるポイントを知っておくことは重要です。口内炎、特に一般的な「アフタ性口内炎」と、他のベロのできものとの見分け方について解説します。まず、アフタ性口内炎の典型的な特徴は、「円形または楕円形の浅い潰瘍」であることです。色は白っぽく、あるいはやや黄色がかった膜で覆われており、その周囲の粘膜は赤く炎症を起こしています。大きさは通常数ミリ程度ですが、時に1センチを超えることもあります。そして、はっきりとした「痛み」を伴うことが多いのが特徴です。特に、食事や会話、歯ブラシなどが触れると、鋭い痛みを感じます。通常、1個から数個が同時にできることがあり、1~2週間程度で自然に治癒し、痕を残すことは稀です。これに対し、例えば「舌乳頭炎」は、舌の表面にある小さな突起(舌乳頭)が炎症を起こしたもので、赤く腫れたり、白っぽくなったりしますが、アフタ性口内炎のような明確な潰瘍面を形成しないことが多いです。ピリピリとした痛みを伴うこともありますが、アフタ性口内炎ほど強い痛みではない場合もあります。「良性の腫瘍(舌線維腫や乳頭腫など)」は、粘膜が盛り上がったしこりやイボのような形状をしています。色は周囲の粘膜と同じか、やや白っぽいことが多く、通常は痛みを伴いません。ゆっくりと大きくなる傾向があります。アフタ性口内炎のように、急にできて数週間で消えるという経過とは異なります。「粘液嚢胞」は、透明感のあるドーム状の滑らかな膨らみで、水ぶくれのように見えることもあります。破れると粘り気のある液体が出て、一時的に小さくなりますが、再発しやすいのが特徴です。痛みは通常ありません。そして、最も注意が必要なのが「舌がん」などの悪性腫瘍です。初期の舌がんは口内炎と似ていることもありますが、なかなか治らない(2週間以上)、しこりのように硬い、境界が不明瞭でじわじわと大きくなる、出血しやすい、強い痛みが持続する、といった特徴が見られることがあります。