MRI検査は、強力な磁石と電波を使って体内の状態を画像化する診断法ですが、体内に金属製のインプラントが存在する場合、いくつかの影響が懸念されます。その影響の度合いは、インプラントの材質、形状、サイズ、埋め込まれている部位、そしてMRI装置の磁場の強さなどによって異なります。主な影響としては、発熱、移動・回転、そして画像の歪み(アーチファクト)が挙げられます。まず発熱についてですが、MRIの強力な変動磁場や高周波パルスにより、金属製のインプラント内に渦電流が生じ、その抵抗によって熱が発生することがあります。特に、ループ状の構造を持つインプラントや、ある程度の長さを持つ金属の場合に起こりやすいとされています。この発熱が高度になると、周囲の組織を熱傷する危険性があります。次に、移動・回転のリスクです。これは主に強磁性体(鉄、ニッケル、コバルトなど)でできたインプラントの場合に問題となります。MRIの強力な静磁場によってインプラントが引き寄せられたり、回転しようとする力が働いたりする可能性があります。これにより、インプラントが本来の位置からずれたり、周囲の組織を損傷したりする危険性があります。現在の歯科インプラントや人工関節の多くは非磁性体のチタンが使われているため、このリスクは低いとされていますが、古いものや特殊なインプラントでは注意が必要です。そして、最も頻繁に遭遇するのが画像の歪み、いわゆるアーチファクトです。金属が存在すると、その周囲の磁場が乱れ、MRI画像が大きく歪んだり、信号が欠損したりします。これにより、インプラントの近くにある病変が見えにくくなったり、誤った診断につながったりする可能性があります。チタン製インプラントでも、程度は小さいもののアーチファクトは発生します。これらのリスクを最小限に抑えるため、MRI検査前にはインプラントの種類や材質を特定し、検査の可否を慎重に判断します。医療機関では、インプラントがMRI対応(MR Conditional)であるかどうかの情報を確認し、対応している場合でも、定められた条件下(磁場強度の上限、特定の撮像シーケンスの使用など)で検査を実施します。インプラントの種類が不明な場合や安全性が確認できない場合は、検査を行わないという判断も重要です。
体内の金属インプラントMRI検査への影響