顎が痛いと感じたとき、多くの方が顎関節症を心配するかもしれませんが、実はその痛みの原因が歯や歯茎にあることも少なくありません。虫歯や歯周病といった一般的な歯科疾患が進行すると、顎にまで痛みが放散したり、顎周辺の組織に炎症が及んだりすることがあるのです。例えば、大きな虫歯が神経に達して歯髄炎を起こすと、ズキズキとした激しい痛みが生じます。この痛みが顎全体に広がって感じられることがあります。また、歯の根の先に膿が溜まる根尖性歯周炎になると、噛んだ時の痛みだけでなく、顎の下のリンパ節が腫れたり、顔が腫れたりすることもあります。歯周病も顎の痛みの原因となり得ます。歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまい、歯がグラグラしてきます。この状態になると、噛むたびに不安定な歯が動き、顎に負担がかかって痛みを感じることがあります。また、歯周病による歯茎の炎症が広範囲に及ぶと、顎全体が重だるいような不快感を引き起こすこともあります。親知らずの問題も顎の痛みの一般的な原因の一つです。親知らずが斜めに生えてきたり、完全に埋まっていたりすると、周囲の歯茎に炎症(智歯周囲炎)を起こしやすく、これが顎の腫れや強い痛み、口が開きにくいといった症状を引き起こします。これらの歯や歯茎が原因の顎の痛みは、まず歯科医院で診察を受けることが基本です。歯科医師はレントゲン撮影や視診、打診などを行い、痛みの原因が虫歯なのか、歯周病なのか、あるいは親知らずの問題なのかを診断します。そして、それぞれの原因に応じた治療、例えば虫歯治療、歯周病治療、抜歯などを行います。顎の痛みの原因が特定できず不安に思う前に、まずは身近な歯科医院で口の中全体をチェックしてもらうことが大切です。適切な診断と治療を受けることで、顎の痛みから解放されるケースは非常に多いのです。自己判断せずに、専門家である歯科医師に相談しましょう。
顎の痛みは虫歯や歯周病かも歯のチェック