ドライソケットの治療中は、食事をするのも一苦労です。しかし、体力を維持し、傷の治癒を促すためには、栄養をしっかりと摂ることが大切です。治療中の食事では、抜歯窩に負担をかけず、刺激を避け、かつ栄養バランスを考慮したメニュー選びが重要になります。まず、食べ物の「硬さ」に注意しましょう。硬いものや、噛み応えのあるものは、抜歯窩に直接当たって痛みを増強させたり、せっかく詰めてもらった薬剤を脱落させたりする可能性があります。おかゆ、雑炊、うどん(細かく刻んで)、よく煮込んだ野菜、豆腐、茶碗蒸し、プリン、ゼリー、ヨーグルト、バナナなど、柔らかく、あまり噛まなくても飲み込めるようなものが適しています。次に、「温度」も重要です。熱すぎるものは、血行を促進し、炎症を悪化させたり、出血を招いたりする可能性があります。また、冷たすぎるものも、刺激になることがあります。人肌程度の、ぬるめの温度のものが良いでしょう。スープなども、少し冷ましてから食べるようにしましょう。「味付け」にも配慮が必要です。香辛料の効いた辛いもの、酸味の強いもの(酢の物、柑橘類など)、塩辛いものなどは、傷口を刺激し、強い痛みを引き起こすことがあります。できるだけ薄味で、刺激の少ない味付けを心がけましょう。また、アルコール飲料は、血行を促進し、炎症を悪化させるため、治療中は厳禁です。小さなかけらが抜歯窩に入り込みやすい食べ物、例えばゴマやナッツ類、細かいパンくずなども避けた方が無難です。もし抜歯窩に入り込んでしまうと、感染の原因になったり、痛みを引き起こしたりすることがあります。食事をする際は、抜歯した側とは反対側で、ゆっくりと噛むようにしましょう。ストローを使って飲み物を飲むと、口の中に陰圧がかかり、血餅や薬剤が取れてしまう可能性があるため、コップから直接飲むか、スプーンを使うようにしましょう。栄養バランスとしては、タンパク質(傷の修復を助ける)、ビタミンC(コラーゲンの生成を助け、免疫力を高める)、ビタミンB群(粘膜の健康を保つ)などを意識して摂取すると、治癒を早めるのに役立ちます。柔らかく調理した肉や魚、卵、乳製品、野菜スープなどがおすすめです。無理のない範囲で、バランスの良い食事を心がけ、早期回復を目指しましょう。
ドライソケット治療中の食事注意点