体内に何らかのインプラントを装着している方がMRI検査を受ける際には、安全確保と正確な診断のためにいくつかの重要な注意点があります。これらを事前に理解し、適切に対応することが、安心して検査を受けるための鍵となります。まず最も大切なことは、MRI検査の予約時および検査当日に、必ずご自身がインプラントを使用していることを医療スタッフ(医師、看護師、放射線技師)に申し出ることです。これは、歯科インプラント、人工関節、ペースメーカー、人工内耳、脳動脈瘤クリップ、ステントなど、あらゆる種類の体内インプラントに共通する鉄則です。申告の際には、できるだけ詳細な情報を提供することが望まれます。具体的には、インプラントの種類、材質、製造メーカー、埋め込み手術を行った年月日、手術を受けた医療機関名などです。これらの情報が記載された「インプラントカード」や「患者手帳」、あるいは手術に関する説明書などがあれば、必ず持参しましょう。情報が正確であるほど、医療スタッフはMRI検査の可否や、安全に行うための条件(例えばMRIの機種選定や撮影方法の調整など)を適切に判断できます。特に、ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)、一部の人工内耳など、電子回路を持つインプラントや磁石を使用しているインプラントの場合は、MRI検査が原則禁忌であったり、厳格な条件下でのみ可能であったりするため、極めて慎重な対応が必要です。検査当日、問診票にもインプラントに関する記入項目があれば、漏れなく正確に記入してください。検査室に入る前には、金属製のアクセサリー、時計、補聴器、入れ歯(金属床のもの)、磁気カードなどを全て取り外すよう指示がありますが、体内のインプラントは取り外せません。だからこそ事前の申告が重要なのです。検査中に万が一、インプラント周辺に熱感や痛み、違和感などを感じた場合は、我慢せずにすぐに検査スタッフに知らせてください。そのための連絡ブザーが渡されるのが一般的です。MRI検査は閉鎖的な空間で大きな音がするため、不安を感じる方もいますが、インプラントに関する正しい情報共有と医療スタッフとの連携により、多くの場合は安全に検査を終えることができます。